医療業界の問題の一つは医師不足にあり

医療業界の問題の一つとして、医師不足が挙げられます。高齢化によって医療のニーズが増える一方で、医師の成り手が同じスピードで増えることはなく、足りなくなることが予想されてきました。さらに、医師不足により病院経営が悪化する可能性も秘めており、さらなる医療危機が叫ばれているのが現状です。

超後期高齢化を迎える日本では、今後ますます医師不足が深刻化するため、多くの医師の成り手が求められています。医師の不足は別の問題を促すことになりますが、その中でも、より国民を不安にさせるのは医療の質の低下ではないでしょうか。

医師不足によって、多くの医師が過重労働に追いこまれることになるでしょう。その影響で、万全の態勢ではないまま医療に従事することになり、その結果、質が低下しているといった兆候が見られます。言うまでもなく、医療は人命に係わる分野であるため、質の低下はそのまま人命に影響を及ぼすことになりかねません。

ある企業の調査によると、「ヒヤリハットという重大事故になる手前の軽微なミスをしたことがあるか」という問いに対して、約九割の医師が「ある」と答えており、約三割は「月に一度はある」と答えています。その背景には、過重労働に追いつめられた医師たちの疲労が垣間見える気がしてなりません。絶対に失敗が許されない医療業界において、失敗が発生しやすい環境がつくられてしまっているのです。

このような状況を改善すべく、多くの医師は様々な工夫を凝らしています。しかし、なにより根本的な解決としては、医療従事者を増やすことであり、医療の現場は多くの働き手を求め続けています。