執刀医の指名も医療業界の問題の一つ

優秀な医師が登場するような医療ドラマの影響でしょうか。近年は手術を受ける際に、執刀医を指名する患者が増加しているそうです。その結果、患者が執刀医を指名したにもかかわらず、実際は別の医師が手術を行ったとして、病院側が損害賠償を請求されるという事態も生じています。執刀医を指定してくる患者の存在は、医療業界で大きな問題となっているようです。

手術を行う際の布陣は病院側の判断に任せたほうが、患者側にとってもメリットが多いとされています。手術を行うにあたって、一人ひとりの医師や看護師にそれぞれの役割が決められるのですが、手術中には想定外の事態が起こることもあります。例えば、出血量が予想よりも多かったり、手術が長時間におよんで麻酔が切れてきたり、予定時間を上回ってしまったりといったケースなどです。その際、医師や看護師は状況に応じて、それぞれの役割を変えて対応にあたるのですが、そのような緊急事態の際に執刀医が固定されていると、局面に応じた布陣を組めなくなってしまうこともあります。

執刀医を指名することで手術のクオリティが高まるということが必ずしも言えるわけではありません。患者側に希望があったとしても、医師や看護師の布陣は病院側に決めてもらうほうが、適切な手術が行われる可能性が高いと言えるでしょう。

もちろん、執刀医に手術を行ってもらうという患者側の安心感を見てみぬ振りすることはできません。別の医師でも十分技術が伴っていること、チーム制で対応にあたるので安心だということなど、患者が納得のいくまで気持ちに寄り添いサポートすることも大切です。